小林古径
小林古径
- " 小林古径は、新潟生まれの日本画家で、日本美術院の中心人物として活躍、昭和32年に74歳で没した。
本作は彼が22歳頃に制作したものと考えられ、大和絵の系列から出て、歴史画を描き、やがて日本美術院の感化の中で、新しい日本画のスタイルを模索してゆく流れの中に位置づけられる。
はじめ、師匠として梶田半古に学ぶが、精神的影響においては、岡倉天心からの感化を忘れることは出来ない。大観、春草に次ぐ若手として、天心も安田靫彦や今村紫紅とともに古径にかける期待が大きかった。この出会いが決定的であったことは確かなようで、26歳の古径が、天心からじきじきに作品制作を依頼されたという驚嘆が、深く古径に印象づけられることになる。こうした事情はすでに、数年前から徐々に古径が力をためてきていたことの現れでもある。
明治38年、本作と同年に制作され、日本美術院の若手作家の会である二十日会に出された「盲目」が、三等賞を受けたあたりから、古径の作家としての出発はあったと思われる。そして翌年、天才児とうたわれた安田靫彦とも知り合い、やがて日本画の革新を目指した青年画家のグループ紅児会にも参加するようになる。
本作は数少ない古径の初期の現存作のうちにあっても、重要なものと考えられる。そこには、古径の初々しさが残されているが、慈悲深さをひめた尼僧たちの姿には、適切な性格描写がうかがわれる。"
1883-1957
コバヤシコケイ
Kokei KOBAYASHI
J-140
制作年:1905
サイズ:114.5×70cm
技 法:絹本着色
材 質:
形 状: