小島信明
小島信明
- " 福井県大野市に生まれた小島信明は、1960年頃から読売アンデパンダン展を中心にハプニング的作品を発表し始めた。篠原有司男を中心とした反芸術の作家たちと 交流し、特にポップ・アートの影響を受けたFRP製の人体作品で注目を集めた。そ の後渡米し、帰国後も現在に至るまで活発な活動を続けている。
《無題》と題された本作は、赤白ストライプの布におおわれ、顔を隠されたサラリーマン風の立像で、FRP樹脂製の像の表面は荒れており、塗られたラッカーはなまめかしく濡れている。この不気味な人型には、いいしれぬ喪失感が漂っており、高度経済成長期 を迎えた日本における人間性の喪失がそのまま現われているともいえる。また覆いかぶさり顔をふさいでいるのはアメリカ文化を象徴する星条旗ともいえる。小島は1962年の第14回読売アンデパンダン展に、紅白幕の前に置かれたドラム缶の中に、自身が一日中立ちつくすというハプニング的作品を発表し脚光を浴びたが、間もなく読売アンデパンダン展は反芸術作品との対立から打ち切られてしまう。その直後から発表されるこの立像シリーズは、既成の美術を暴力的に否定する「反芸術」の時代が終わり、新たな表現の地平を前に立ちつくす日本の現代美術そのものの姿にも見える。 "
1935-
コジマノブアキ
Nobuaki KOJIMA
M-1
制作年:1966
サイズ: H 173cm
技 法:ラッカー
材 質:FRP
形 状:立体