所蔵作品

小村大雲

小村大雲

1883-1938

オムラ タイウン

OMURA Taiun

楽山楽水


制作年:20世紀
サイズ:各縦171.0 横357.0cm
技 法:絹本着色
材 質:
形 状:屏風装 6曲1双


"右隻では川のほとりに1人の高士が、傍らに鶴を従えて敷物の上に坐している。左隻では高士たちが眼下に広がる雄大な景観に視線を向け、静かにたたずむ様子が描かれている。本作は孔子の『論語』を典拠とし、「知者楽水、仁者楽山」を絵画化したもの。たっぷりとした余白に情感を込め、また全体に裏箔を用いることで、山中に充満する柔らかな光を感じさせる。 画中の款記に「大雲山人作於竹里庵中」とあるように、本作は出生地の平田に設けた画室・竹里庵(大雲山荘)で描かれたもの。この画室は昭和6年(1931)に落成していることから、本作は大雲晩年の制作に位置付けられる。大雲は歴史画家として中央画壇で活躍した作家であるが、晩年は画壇から離れ、梁楷に私淑して南画に傾倒した。本作も大雲晩年の南画傾向がうかがえる好例といえ、円熟期の枯淡な境地を示す佳作といえよう。 大雲は大正10年(1921)に福井県若狭(現高浜町)に「青海漁舎」という、避暑地を目的とした別荘を新築している。また本作には作家自身が所蔵者である加藤貞七宛に送った付属資料があり、両者の直接的な交流もうかがえる。このように本作は大雲と福井のゆかり、また越前市の商家に伝来した作例として当館の収集にふさわしい。"