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ツルザワ ヨウタク
TSURUZAWA Yotaku
J‐462
制作年:18世紀
サイズ:各152.2×355.0㎝
技 法:紙本墨画
材 質:
形 状:屏風装 6曲1双
"逆巻く波を隔て右隻に黒雲の中から巨大な顔を覗かせる龍を、対する左隻に身体ほどもある巨大な竹を押さえつける虎を、6曲1双の大画面に水墨の手法を用いて描いた作品。 龍虎ともに室町時代以降、水墨画の好画題として流派を問わず盛んに描かれ、本図同様一双の屏風になる作例が多い。本図も粗く豪快な筆致で龍虎を描いて迫力ある画面を創り上げている。余白を大きく取った淡白な作風は探幽以降の江戸狩野の特徴で、かつ虎や龍の飄逸な表現は狩野尚信などに先例を見る。 落款から作者は江戸時代前期の狩野派の絵師、鶴澤養琢(生没年未詳)と知れる。養琢は資料によれば武蔵国の生まれ、姓は長谷川。祖父太兵衛正則は松平伊豆守に留守居役として150石で仕え、父正勝もまたその跡を継いだ。しかし養琢は父の死後病身を理由に浪人、母方の叔父・鶴澤探山のもとで絵を学んだという。そして宝永5年(1708)に第8代福井藩主松平吉品(よしのり)に御用絵師として召し出されたのち、狩野常信の門人となる。さらに9代藩主吉邦(よしくに)にも仕えたことが享保4年(1719)頃の給張から知られるが、詳細な活動については不明である。作品も経歴同様ほとんど確認されておらず、越前松平家伝来の資料(越葵文庫)にある無款の「牡丹図」(吉邦賛)が、箱書から養琢と知れる唯一の例で、ほかに同文庫中の「赤染右衛門図」と「梅鶴・松鶴図」(ともに吉邦賛、無款)が、ともに養琢筆の可能性を指摘されるのみである。 新たに確認された本図は、作者の落款を有するものとしては唯一のもので、かつ水墨による大画面の作例としても貴重といえる。全体に虫損等による損傷が激しく、それが著しく保存・鑑賞の妨げになっていることから展示に際しては修理の必要がある。展示映えのする作品であり、作者および福井藩御用絵師の研究上重要である。"