所蔵作品

島田墨仙

島田墨仙
  • 本図は昭和6(1931)年の第12回帝展に出品され、古典的画題を現代に生かした佳作として好評を得た。画題「廓然無聖」は中国南北朝時代、インドから禅を伝えた達磨と梁の武帝との故事に取材したもの。武帝より仏教の真理を尋ねられた達磨が全ては空のように何も無いと答える様子を熟達した墨仙の人物描写により巧みに捉えている。当時の批評では「達磨はよく時代の呼吸をしている。緋衣の濃淡、足下敷物の色調等まことに画品の高いものだ」、「描線の明快さと言い、色調の雅味と言い、この人にして初めて可能な巧緻さ、全体をよく引き締めた達磨の図」と場中の優品として好評価を得ている。

1867/11/04(太陽暦)-1943/7/9

シマダ ボクセン

Bokusen SHIMADA

J-473

廓然無聖

カクネンムショウ


制作年:1931
サイズ:119.3×87.3㎝
技 法:絹本着色
材 質:
形 状:軸装一幅


本作は福井出身の歴史人物画の名手・島田墨仙(1867〜1943)が、昭和6年(1931)第12回帝展に出品したもので、その名を高めた円熟期の作品である。画題は、中国禅宗の祖・菩提(ぼだい)達磨(だるま)(以下、達磨)が梁の武帝に仏法の最も大切な真理を問われ、「廓然無聖」―からりとした無心の境地で聖などないーと答えた語からとっている。古くから伝えられる恰幅よく黒い髭の達磨のイメージから脱し、南国の人らしい褐色の肌に年齢に相応しい白い髭をうっすら生やさせ、かくしゃくとした老人の姿として描いたところに墨仙の独自性がある。