西井敬岳

西井敬岳

• "拝啓酷暑難凌御坐候處 愈々御清祥ニ被有候由奉賀候 陳者拙宅一統無事起居致し 居候ニ付乍憚御休科（ママ）被下度候 就て者過般御拝眉之節御話 し申上候先生一行の黒部旅 行者去る一日尓出発セられし 事を新聞紙尓て知り其後 留守宅へ奥様を御尋ね 申上候處御貴殿よりも既尓御 書面到着之由尓て歸途 都合尓より御宅へ立寄り製 紙の模様を一覧致し多き由 申居られ候由承り小生も御 迎ひ可多〳〵武生迠出張の上 御案内申上べ久其由越中 宇奈月の宿へ書面を差 出し出発の時間を電報 尓て御知らセ被下べ久依頼 申上候へし可゛七日午后奥様 より電話尓て今晩九時尓帰 京の由電報尓て通知あり し事を申越され小生の書面 と入違尓なりし事と天誠尓遺 憾の至り尓御坐候御歸宅 の翌日先生宅へ御伺申上候 處歸途御宅へ立寄り 多き心算ニ有之候へし可゛ 先方尓て天候悪しく大分 雨尓降り込められ其上一行 も十人余りの大勢尓て遂尓 豫定を早めて歸京セら れし由申居られ何れ次の 機會尓又御邪广（ママ)致すべ 久今<回>者宜敷御断り申上 呉との事尓有之候間右不 悪思召被下度候何れ 師宅よりも御斷の書面を 差出すべ久申居られ候 間左様御承知被下度先 者右事情申上度如斯 ニ御坐候 乍末筆皆々様へ宜敷 御傳へ被下度尚時節柄 御自愛之程奉祈上候 匆々 八月十日　　　西井敬岳 岩野平三郎様 ※旧字体には<　>を付けました"

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