冨田溪仙
冨田溪仙
- "拝啓其後御無沙汰
奉謝候、此間ハ御書
状及紙沢山御送り
被下奉鳴謝候
東都の大災害ハ有
史以來の恐報尓て唯
唖然と致し居候
右ニ付御深情の畫紙
諸畫家へ御恵み被下
様承り御厚情ハ厚
く受け申候得共何分
既ニ御承知の如く紙
ニ畫を描き世間ニ通用
春る人ハ僅少數尓候
其少数中尓ても世價
安き爲め自然絹地を
使用春ると云ふ風(訂正)
因習有之此度京都
の一二の表具屋より發
起畫家達に尺巾を描
せ義金を集ることニ
相成小生ハ既ニ京都府
よりの義金ニ應し居
候も強てとのことニ賛成
致し居候も右の發起
の畫も絹本と相成
此際折角の御眞情
尓ハ候得共當分御
見合せ相成方宜敷
と存し居申候
右不悪御良(ママ)承願度
候
東京の美術院も今
日ニ至るも御(訂正)存(訂正)し(訂正)通(訂正)り(訂正)
報知無之安否如何
とも不明ニ候當方より
も御存し通り通信出来
春假屋沖(の)舩同様の
感有之候併し近々尓
ハ通信あることゝ信し居
申候
実ハ小生毎年出品ハ開
曾■(訂正)前ニ發送致し
居候處今年ニ限り
一向気進ま春゛爲め■(訂正)
二枚の内一枚丈ケ京都
運送店ニ九月一日午前
ニ託し候處客車便規定
二尺五寸の處二尺七寸ある
為め午後ニなるとのこと
尓相成居候處午後号
外ニ依り直ニ發送中
止致し候次第候
先ハ御厚禮旁々
右御返事申進候
不日御入洛の節御
立寄被下度 敬具
九月十三日 冨田溪仙
岩野平三郎様
"
1879/12/9-1936/7/6
トミタケイセン
Keisen TOMITA
C-38-437
冨田溪仙書簡 画紙の礼・日本画は絹本という因習有り関東大震災義捐の画は絹本となる 112‐3
Letter from Keisen TOMITA (1879-1936)
制作年:1923年9月13日
サイズ:便箋8枚25×16.8 封筒21.3×9
技 法:紙本墨書
材 質:紙 墨
形 状:便箋8 封筒1