小杉放庵

小杉放庵

• "をしつまり申候今年の冬は阿たゝ可に候 御地は如何御きげんよろしく候哉扨 別便にて■御覧に入れ申候もの小生作日光山 鳥瞰図に候　是と同大のもの耶馬渓より頼 まれ正月にかゝり申候　同じ刷るなら者゛日本 的の紙にすらせ度存候　大きさ同じにて一万 枚ほどに候（日本風景協會と申す友人 經営の社にて取扱ひ申候）日本紙にすると せばねだん可゛中々高張りならんと申居 候　それを小生の考にては　かまはず混入 物を入れたとへばパルプの如きものを入れ 藁にても入れ　ともかく外観西洋紙 ならず日本紙的になればよろしくと存候 御工夫願ひ得べきに候哉　されど此の 見本の（画：見え消し）用紙は一万枚につき（四：見え消し）一枚あた 　 り六厘の由　六厘ならずともそれに近 きねだんならずば印刷の方の都合よから ぬことなるべし　若し何とか御工夫願 はれな者゛　今后も折々此の用途相生 じ申すべく　なるべくは（小生：見え消し）作者の小生 としては日本紙的のもの殊に貴下の お■つくりのものにより度願望に候　右 とりあへずおう可ゞひ申上候何卒至急 御返事下され度候　　草々 　　　二十八日　　　小杉生 　岩野老兄 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 "

---

---