小杉放庵
小杉放庵
- "入梅上って可らの雨夛く御起居如何
さて此程来考居候こと申上候小生水
墨
の用紙専ら貴家の製紙を用ひ居り候に
元来ムダ可゛き多く此の可き損じの處
分法に
いつも心をなやまし申候宵屋に渡す
も心外
奈り焼く尓者勿体奈く良質純粹のも
の
何とか利用法は奈きかところで先日某
寺の古文書を見るに南北朝の頃の朝
家の勅旨時にうす墨の紙を用ふ所謂
うす墨のりんし奈るもの可宿紙と申
した
るも此の類一度墨つけたるを又すき返して
用ふ朝家<既>に此の法あり今尓於て是
を用
ひて如何書翰用には元より繪画用と
してもう
す墨のもの或は墨竹墨梅等尓よおも
しろ
可るべし貴意如何にやムダ可゛き黨の所存
外此のムダ可゛きの集団多かるべし先
づ試みに
拙宅のをお送りして御試作を乞ひ度
と存候此
の義はいたづらに手数可ゝりて或は
御めんどうなる
やも知れずされど是れお互に紙に對
するの冥
利奈り右思いつきたるまゝ申上候
放庵生
岩の様 七月十一日
※13~14行目の「所謂うす墨の、、、」(謂うす)に付点あり。
14行目の「うす墨のりんし」に傍線あり。
旧字体には< >をつけました。
"
1881-1964
コスギホウアン
Hoan KOSUGI
C-23-003
小杉放庵書簡 描き損じの麻紙を漉返し出来ないか尋ねる 72‐別置103 巻子3
Letter from Hoan KOSUGI (1881-1954)
制作年:1927年7月11日
サイズ:
技 法:紙本墨書
材 質:
形 状:巻子