所蔵作品

小野忠弘

小野忠弘
  • " 小野芸術は、一般に考えられているように目に見える自然の花や風景を静かに写したり、人体を目に映るがままに刻み込むため絵画や彫刻の世界を求めて楽しむという世界ではない。  小野芸術の足跡は、以上のような世界と断絶した芸術の世界で常に自然と接して、自然の創造の根源に触れながら、自然が春になると、くすんだ土壌を割って雑草などの生命を創造させていくような世界を、その作品の中に創り出そうとしてきた。それは自然の創造の神が、雑草、花、雲、波などの花鳥風月の世界で、一度として同じ世界を創り出すことをしていないことと同じである。常に今日という前衛の心で創造することしかない。それが自然の神にしろ、小野の作家としての造形への道にしろ、すべて物をつくる者の本質なのであろう。  その意味で小野芸術を改めて鑑賞していただければ、今後の小野芸術への視点が新たになるであろう。小野は、自然の造形神のような、形式にとらわれない自由で自然の原始的な世界を表現してきた。鉄くず、ビニール、樹脂、針金など色々の異質の物質とそれに絵具を混用させている。しかも限られた空間の中で異質の物質が互いに激しくかかわりあい、ぶつかりあって、出会いの世界を創り出している。そして画面の中で今までに誰も創ることの出来なかった線や面の世界を創り出している。これらの線や面が画面の中で複雑に入り乱れながら、新しいかかわりを作中でひしめきながら生み出している。特に本図で見られるように異質の物質のかかわり合いに加えて、冷め切った夜空のような感触の青黒い絵具の色調が人工の神秘的な世界を創り出している。まさに小野の創造した第二の渦巻星雲の宇宙的世界に変身しようとしている。そして今後も小野芸術は激しく変身を続けるであろう。"

1913-2001

オノタダヒロ

Tadahiro ONO

O-12

セキスタント・マテリアル(オメガの天)

セキスタント・マテリアル(オメガノテン)


制作年:1959
サイズ:90.7×181.5cm
技 法:混合技法
材 質:木製パネル
形 状: