小野忠弘

小野忠弘

• "　青森県に生まれ東京美術学校に学んだ小野忠弘は、1942（昭和17）年に美術教師として赴任以来、福井県三国町を拠点に制作活動を繰り広げた。アンフォルメル美術隆盛期に制作した造形彫刻が注目を集め、59（昭和34）年のサンパウロ・ビエンナーレや翌年のヴェニス・ビエンナーレに選出された。同展に出品した廃棄物を利用した独創的な半立体作品は当時の美術界に驚きをもって迎えられ、米ライフ誌上でデュシャンらとともに「世界の7人」の1人として紹介されるなど国際的に高い評価を得た。 　90年代にはいり80歳を超えてからの小野は、自身の活動を総括すべく、絵画表現の結集化に向かう。その時期の重要なシリーズのひとつに「ＢＬＵＥ」シリーズは位置する。どこまでも拡大しつづける宇宙を想起させるこのシリーズによって、彼は、全く独自の世界を確立したといえる。 　また「イレズミダンス」はその最終年に位置する作品であり、亡くなる数カ月前に制作されている。この単にジャンク・アートという範疇で括ることができない本作は、小野が生前筆者に語った言葉によれば、「零度の感覚」という美意識を具現化したものである。"

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