所蔵作品

菱田春草

菱田春草
  • " 本作は明治34年の第6回日本美術院絵画互評会で一等を得た作品である。互評会は作品の研鑽を目的として作られた研究会で、岡倉天心が座長となり各回の画題を設け、その画題にしたがって描いた作品をお互いに批評し、最後に天心が批評するというもので、各回投票により1等から3等までを決めた。互評会は明治33年から36年まで23回続いた。  この回は「温麗」という画題で、春草は温和な空間に躑躅(つつじ)と二羽の鳩を描いたため、「温麗・躑躅双鳩」という題がついている。晩春の陽の下で咲く躑躅は燃え立つような色彩を放つものであるが、春草のそれはむしろ穏やかで作品に静謐(せいひつ)な印象を与えている。春草は「朦朧体(もうろうたい)」と呼ばれる、革新的な没線描法で伝統的日本画表現から近代絵画への脱皮を図るが、この絵はその「朦朧体」に着手して間もない時期のものである。縦長の画面上部に思い切った空間を設け、色彩で質感やボリュームを描き出す画法は春草のこの時期の特徴を余すところなく示している。"

1874-1911

ヒシダシュンソウ

Shunso HISHIDA

J-303

温麗・躑躅双鳩

オンレイ・ツツジソウキュウ


制作年:1901
サイズ:130×50cm
技 法:絹本著色
材 質:
形 状: