小島信明
小島信明
- " 小島信明は1935年福井県大野市に生まれ、60年頃から篠原有司男らと共に「反芸術」の作家として活動し、ポップ・アートの影響を受けた人体作品で注目を集めた。
小島は、62年の読売アンデパンダン展で、ドラム缶の中に自身が一日中立つという作品を発表し、観衆を驚かせた。だが、同展は常軌を逸した表現への批判から、間もなく打ち切られた。直後から発表された立像のシリーズは、赤白ストライプの布におおわれ、顔を隠したサラリーマン風の等身像であった。アメリカを象徴する星条旗で目隠しされたようにも見えるこの像は、その後も様々な展開をみせ、小島の代表作となった。
89年に発表された本作は、小島の像シリーズの完結編ともいえる。ついに頭から布が取り払われると、そこには頭部そのものが失われた奇怪な姿が現れた。型取りされFRP成型された人体は、ミイラのように干からび、もはや自力では立てず、壁に体重をあずけるようにして耐えている。
壁のように見えるパネルには、人体と同種のマチエールが作られており、その縁にはバネットニューマン風のペイントが施されてもいる。主体を司る頭部は失われたのではなく、絵画平面に姿を変えた、あるいは絵画の中に首を突っ込みその体内をまさぐっている。作品は、ただならぬ挫折と失望、死のイメージを漂わせると同時に、表現を渇望する貪欲な生気を秘めている。
小島の像シリーズは、その時代の日本の現代美術の自画像とも思える。"
1935-
コジマノブアキ
Nobuaki KOJIMA
M-19
制作年:1989
サイズ:H 235.5×W 123×D 65cm
技 法:混合技法
材 質:木製パネル
形 状:立体