1883-1957
コバヤシコケイ
Kokei KOBAYASHI
J-220
チクブジマ(ミョウオン)
制作年:1900~1907年頃
サイズ:143.5×71.5cm
技 法:絹本着色
材 質:
形 状:
本作は『平家物語』のなかの「竹生島詣(ちくぶじまもうで)」に取材した作品である。木曾義仲を追討するため、北陸道へ向かった平経正(つねまさ)は、琵琶湖に浮かぶ竹生島に立ち寄り、竹生島明神(弁財天)に勝利を祈願した。やがて夕暮れとなり、月明りのなかで経正が琵琶の秘曲、上弦(しょうげん)、石上(せきしょう)を奏でると、そのあまりの素晴らしさに弁才天の化身と思われる白龍が経正の袖に現われた。小林古径(こけい)(1883-1957)は、勝利を予感させる白龍の出現の場面を、経正の袖から立ち上る神秘的な煙によって暗示している。装束や甲冑の描写からは、気鋭の歴史画家、梶田半古のもとで有職故実を深く研究した成果がみられる。やがて横山大観や下村観山に次ぐ日本美術院の重要な担い手となる古径の、数少ない初期の歴史画作品のうちの一つである。