- "本図は浄土真宗で制作された浄土宗の開祖法然(源空、1133~1212)の画像。法然は黒衣に茶袈裟を纏い、高麗縁の礼盤上に左向き坐し、両手で数珠を爪繰る姿をとる。右手を上にして数珠を取り、また「法然頭」と称される頭頂部のくぼみの表現や、少し前に前屈する姿などは、いわゆる「足曳御影」にみる法然像の図像を受け継ぐものといえる。
本図には現在別幅に仕立てられている裏書が残されている。それによれば本図は文安三年(1446)に、越前国藤島郷(現在の福井市)の浄光寺の尼性忍の求めにより、本願寺第七代存如により下付されたものであることが知られる。
浄光寺は浄土真宗本願寺派の寺院で寺号は高木山、寺伝によれば永享4年(1432)に本願寺第六代巧如より常光寺の寺号を与えられ、八代蓮如のときに浄光寺と改めたという。
法然は開祖親鸞の師であることもあり、真宗では古くから法然に対する信仰は篤く、列祖像とともに単独画像も制作された。その中で本図は本願寺が下付した法然の画像としては現存最古の一つに数えられる。その意味で本図は真宗や本願寺教団における法然画像の展開、そして越前における真宗の普及等を考える上でも極めて貴重な作例といえる。なお本作は平成31年に福井県指定文化財に指定された。"
絹本著色法然上人像
ケンポンチャクショクホウネンショウニンゾウ
color paintings on silk portrait of Honen-shonin
制作年:1446
サイズ:画像:76.8×36.5㎝、裏書:47.5×19.0㎝
技 法:画像:絹本着色、裏書:紙本墨書
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