ごあいさつ

 福井県立美術館は、県民の美術への関心の高まりを受け、1977 (昭和52)年に開館しました。以来様々な企画展、所蔵品によるテーマ展など美術館主催の展覧会の他、マスコミとの共催展などを年間を通して開催しています。また、美術愛好家・団体主催による展覧会も数多く開かれています。

 

 作品収集については、まず、近代日本における最も重要な美術指導者・岡倉天心の両親が福井出身であった関係から、横山大観や菱田春草など初期院展を中心とした天心ゆかりの画家たちの作品を挙げることができます。その他、越前の戦国武将朝倉氏に代々仕えた水墨画の一派・曽我派や、 個性的な画風で知られる江戸時代初期の絵師・岩佐又兵衛、近代における美術運動の草分け的存在である「北荘・北美」 美術運動の関係作家、国際的に活躍した現代美術作家・小野忠弘、戦後日本画の 革新者・三上誠など、福井ゆかりの作家の作品収集にも力を入れてきました。他にも、ゴヤ、ドーミエ、ルオー、ピカソ、ミロといったヨーロッパの著名作家の版画も数多く所蔵しています。これらの作品は、所蔵品によるテーマ展などで順次公開しています。

 

 また、各種講演会や実技講座、「キッズ・ミュージアム」など、教育普及事業や鑑賞教育にも力をいれ、大人から子どもまで一人でも多くの県民が美術に親しむことのできる美術館を目指しています。2024(令和6)年、北陸新幹線福井・敦賀開業を迎え、今後も県内外に福井の文化財や美術の魅力を伝え、福井の美の殿堂としての役割を担ってまいります。

 

 館員一同、皆様のご来館をお待ちしております。

 

福井県立美術館 館長 中石達朗